低周波地震に伴う空振の性質

雲仙火山の山頂部へのデイサイトマグマの貫入に伴い高周波地震と低周波地震が観測された．低周波地震は、微小な低周波音パルスを伴ったが，高周波地震はそのようなパルスは伴わなかった．低周波マイクロフォンネットの観測からそのパルスは地震と同時に発生すると考えられる(Fig. 1)．低周波マイクロフォンネットの記録からパルスの発生位置が精度よく求まり，波源は，新しい溶岩が出現している場所の周辺に分布していることがわかった(Fig. 2)．低周波音パルスは，新しいマグマの貫入により既存の溶岩ドームが破壊して火山ガスが放出されていることを示すと考えられる.




Fig.1 ドーム直下で発生する低周波地震とそれに伴う空振．波形はドームからの距離で並べてある．地震発生と同時に低周波のパルスが発生している．




Fig.2 低周波地震に伴うパルス（黒丸）の波源の分布．×はドーム崩壊に伴う空振の波源の位置．